女性が知らない男の怠惰。

映画や音楽。その他日常を綴ったブログです。貴方の目に留まるご縁を。メールはこちらへ。jwpianopiano@icloud.com

映画 「ドライブ・マイ・カー」を観て感じたこと。

私は、文章を書き公開する多くの人に比べ、言葉を持たない。語彙力もない。ましてや、村上春樹の本を少し読んでみたことがあるだけで、村上春樹がどんな作家ということも知らない。村上春樹と聞けば「ノルウェイの森」がベストセラーだったことや、ノーベル賞の受賞を毎年待たれていることをセットで連想するレベルの知識の浅さだ。

人に勧められ「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を19歳の時に読んだが、こちらもタイトル以外うっすらとしか覚えていない。

既知であれば、より作品を楽しめ、理解が深まったであろう劇中劇の「ワーニャ叔父さん」も知らない。

 

3月に開催される米国アカデミー賞4部門がノミネートされたことで俄然注目が集まった為、劇場で再公開されているこのタイミングに、まさにそのミーハーな動機しか持たずに鑑賞してきた。濱口監督の名前すら知らず、もちろん作品に触れるのも初めて。

 

そんな自分がこの作品を語ること自体、おこがましい。が、感想文のような備忘録ならと思い立ち書いている。響いたものが確かにあったから。

 

ネタバレなしで

率直に感じたことは、「いつまでもこの映画の静けさや雰囲気に浸っていたい」と思えた作品ということ。

自分は、映画館で映画を観る時、あまり物語にしがみつかない。頭で追えない場合が殆ど。だから、暗闇、音、静けさ、どこかの席から漂ってくるコーヒーやポップコーンの香り。そういった雰囲気を楽しむ為に映画館へ足を運んでいるふしがある。なかなか共感を得れないが、そんな感覚、姿勢の自分にはピッタリとハマった。

 

濱口監督、こんなに静かで心地よいリズムの作品を撮る人ならと、過去作への興味が強くなった。

数多の作品にはない特別な雰囲気を纏った作品であることは確かなこと。

オープニングクレジットの入り方、数少ない音楽の入る箇所

 

全編に、北野武作品にも通じる省略・引き算の美しさも感じた。観客を突き放しているわけでなく、信頼しているからこその「わかるでしょう?」な姿勢。説明的なシーンが全くないわけではないが。

 

原作は、短編小説の「女のいない男たち」

長編かと思っていたので、まず短編ということに驚く。

浮遊感を感じた夜間のドライブのシーン。この映画を紹介するベストなシーンの一つじゃないかな。

 

既にDVD、ブルーレイも出ており、家で鑑賞できる状況だが、私は、この作品を未見の方に、タイミングが許すなら、映画館の暗闇のなかで出会ってほしいと強くおすすめしたい。語りかけてくる奥行きが深い作品だと思うから。

やたらスマホに触れられて、ちょっとトイレに立つために一時停止なんて環境で出会わない方がよいと思う。

また、耳鳴りがするほど無音が活かされるシーンもあるので、お腹に何も入れない状態で観てしまうと音が鳴らないか気になってしまうかも。

 

場内

同じ時間を共有した人たちのマナーもすこぶる良かった。上映中、水分を口にするのみで食べない私にとって、他の皆さんも食べない状況はありがたかった。エンドクレジットが終わるまで席を立つ人が少なかったのもうれしかったな。

 

 

鑑賞後、迷いなく購入したブルーレイ

パッケージの、あのデジタルな質感はこの映画のことを表していないなと感じた。

のっぺりしていて、手に取る人にこの映画のことを伝えられるパッケージではないと思う。もっとフィルム感が欲しかったな陰影のある

 

数多あるデザイン。

映画好きな層を、はなからターゲットにしてないような

 

f:id:jwpiano:20220306151140j:plain

↑ うーん…

 

 

↓ いいですね。

f:id:jwpiano:20220306152145p:plain

 

余談だが、

西島さんを見るたびに発想することを今回も

それは、他のアジア圏でリメイクされるなら同じ役はトニー・レオンかなぁと思ってしまったこと。インファナル・アフェアでも示されている通り、存在感が似ているのだろうか